連載第177回 (2012.02.03UP!)
社会保障制度の存続に必要なこととは B

 悪い行いは広まりやすく、よい行いは目立たない。と前回書きましたが、モラルハザードな今の世の中では、意外にそうでもないのかもしれない…と思い直しました。逆に良い行いは目立つかもしれない、と。かといって悪い行いの影響がなくなるわけではないのですが。だとすると「自分ひとりじゃどうにもならない」と思っていても、実は案外そうでもなくて、頑張れば社会を変えられるかもしれないのです。そう考えて前向きに頑張る人が増えていけば、社会は大きく変わると思いませんか? 人間関係で、この人とは絶対にうまくいかないと思っていても、こちらが考え方を変えて接していったら、びっくりするほど変化してすごくうまく行くようになった、そんなことだって結構ありますものね。そう考えると、社会を良い方向に一気に変えていくことだって、意外に難しくないかもしれない。悲観的になる必要はないかもしれないなあ、なんて思ったりします。すさんだ世の中だからこそ、誰かのちょっとした良い行いが、清涼剤のように人々の心に響くのかもしれない。軽いマナー違反や悪事に対して「そういう人ってどこにでもいるのよね」というふうに麻痺してしまっている私たちをハッと目覚めさせてくれるかもしれないのです。
 この世界には完全無欠なものなど存在しません。でも、だからといって最初からあきらめてしまったり、悪い方向にいってしまっては、何もかも崩壊してしまいます。その時その時に一番ベターなやり方を模索していきながら、限りなく完全無欠に近づけるように常に頑張っていく、それが何ごとにおいても一番なのではないでしょうか。ひとつでも欠点やリスクが伴うからといって、ケチをつけてばかりでは、問題は少しも解決しません。今の政治がそんな感じですよね。そしてもうひとつ、今の政治と社会とに共通して言えることがあります。それは、自分のことは棚上げして、相手に文句ばかり言う、というものです。国会での議論については言うまでもないでしょうが、昨今は一般社会でも珍しくありません。分かりやすいところだとネット上でしょうか。2ちゃんねるに限らず、掲示板やブログ、ツィッターなど、ネット上の発言できる場所では、ほんのちょっとでも何かあるとすぐ文句や言いがかりをつけてばかり、そういう人たちが必ずといっていいほどいます。クレーマーやモンスターペアレンツといった人たちが急増しているのも、根っこは同じではないでしょうか。
 政治ばかりを責めていても、モラルハザードがそのままなら、根本的には何も変わりません。むしろモラルをしっかり守っていくこと、それが社会保障を存続させていく上で実はとても重要だということに、私たちはそろそろ気づかなくてはなりません。国会は国民とは別世界の人々が運営しているのではありません。なんだかんだ言っても、そこが現在の日本社会の縮図なのです。私たちが暮らしている社会を良くも悪くも反映しているのです。汚職が当たり前だからといって、私たちが同じように普段の生活で悪いことをしていい理由になんかひとつもなりません。逆に言えば、私たち国民がこのままなら、政治はますます堕落していくことでしょう。人間関係と同じ、相手に悪い点があるからといって、自分が譲らなければ関係はますます悪くなるばかりです。でも、自分から改善していって歩み寄っていけば、意外とスムーズにその関係が修復されていくものです。他人の欠点や失敗をあげつらいあうだけの社会からはいい加減脱却しなくてはなりません。

 大事なのは、悪い風潮に迎合しないことではないでしょうか。何も偉人になるべく努力する必要はありません。人として当たり前のことを頑張っていけばいいのです。ただ、こんな世の中では、それがなかなか難しかったりもしますが。それでも、多くの人がそう考えるようになったら、それだけでも社会はガラッと変わるに違いありません。

 すさんでいる世の中だ、と上で書きましたが、そうはいっても、震災後、そんな社会に変化が起きているように感じてもいます。自分のことばかり考えていては、社会は成り立たない。今のままでは、何かあったら社会は崩壊する。みんなお互いを思いやりあっていくようにしなければ…そんな風に考える人たちが増えてきているような気がします。だとすれば、未来は案外明るいかもしれない、いや、明るくできる、きっと。そう思って頑張っていきたいです。

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